弔事の贈り物につける掛け紙のことを『のし』といい、法要では香典・お供え物・引き出物に付けるのが決まりごとです。
ほとんどの場合、のしは贈り物を買ったお店で適切に整えてくれますが、稀に「持ち帰ってからのしが一周忌ではなく四十九日忌のものになっていると気付いた」なんてトラブルも起こっています。
このようなトラブルを防ぐためにも、のしについて正しい知識を持ち、万が一店員さんのミスがあった時も、店頭ですぐにご自身で気付き、指摘できるようになっておきましょう。
この記事では、一周忌法要までに施主・参列者が知っておくべき、のし(熨斗)に関する知識のすべてをご紹介します。
最後まで読んでから用意を始めてもらえれば、完ぺきなのしを付けた贈り物で、相手への最高の敬意と礼を尽くし、一周忌を心残りなく締めくくることができます。
目次
全宗派
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1 のし(熨斗)とは?
のしは漢字で「熨斗」と書き、『何かを贈る側が相手に対して敬意を払っている・礼を尽くしていることを示すため』にあります。
法要では施主と参列者の2者間だけでなく、故人への敬意と礼を示すことにもつながるので、絶対に欠かせない大切なものであり、マナーも押さえておく必要があります。
「のし」とまとめて呼ばれがちですが、のしにも種類があり、一周忌の法要を例にすると次の3つが、のしにあたります。
- 香典を入れる袋=のし袋
- お供え物にかける紙=のし紙
- 引き出物にかける紙=のし紙
のし紙は、施主・参列者でそれぞれ掛け方が異なり、マナーも違いますので、それぞれの立場で正しい知識を持っておくことが大切です。
のしには「内のし」「外のし」とあり、贈り物の渡し方によって『どちらか一方を使い分ける』必要があります。
内のしは、品物の上にのし紙をかけたらのしをかけた品ごとさらに包装紙で包んだり箱に入れたりする方法で、『郵送する品に』使います。
外のしは、品物を包装紙や箱に包み入れたら最後にのし紙をかけて紙袋に入れる方法で、『手渡しする品に』使います。
2 【施主】一周忌の引き出物に付ける「のし」の掛け方とマナー
「法要に来てくれたこと・香典やお供えをもらったこと」へのお礼で渡す品を『引き出物』といい、全宗派共通で『外のし』『黒白の結び切りの水引』『表書きは「志」』『水引の下に○○(苗字)/○○(苗字)家』と書きます。
絶対に押さえておきたい重要なことから、順番に説明します。
包装紙と紙袋の選び方
包装紙と紙袋の色は『白・グレー・薄緑・薄紫』などの落ち着いた色合いを選びましょう。
あくまで儀式は不祝儀の場であり、華やかな色合いはマナー違反になりますので、避けましょう。
また、御足労いただいた列席者に対して、「手荷物が増えてしまうので恐縮ですがせめてものお礼の気持ちです」という慎ましい姿勢を示すためにも、紙袋は必須で用意しましょう。
水引の選び方
水引は『黒白の結び切り』を選びましょう。
地域や宗派によって水引の色が異なる場合があり、各ご家庭の宗派や地域柄の事情を調べるのは困難ですから、全宗派で共通していて無難な「黒白の水引」を使いましょう。
のしの正しい書き方
表書きは『志』、ペンは『濃墨の筆ペン』、水引の下は『○○(苗字)』もしくは『○○(苗字)家』と書きましょう。
「満中陰志」という表書きが使えるのは四十九日までで、一周忌では使えないので書かないよう注意しましょう。
正しい渡し方
荷物になってしまうことに配慮し、紙袋に入れた状態で『帰り際』に渡します。
施主から直接、「本日は来てくださってありがとうございます」と一言添えて、手渡ししましょう。
引き出物を何にしようか…なかなか決まらない・選べないという方は、『引き出物・香典返しのお返し品のマナーを押さえた贈り方』でこれを贈れば間違いない!という品を5選ご紹介していますので、参考にしてみてください。
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3 【参列者】一周忌の香典とお供え品に付けるのしの掛け方と注意点
参列者は『香典袋ののし』と『お供え品ののし』の2つの用意が必要ですが、宗派ごとにのしのかけ方が異なり、間違うと気を遣ったつもりがかえって失礼になってしまいます。
ここでは『全宗派に対応している方法』をご紹介しますので、絶対に失敗することはありませんから、参考にしてください。
香典の「のし」
法要に呼ばれたら必ずお金をのし袋に包んで施主に渡しますがこれを『香典』といい、全宗派共通で『黒白の結び切りの水引』『表書きは「御香典」』『水引の下にフルネームで自分の名前』を書きます。
水引の選び方
水引は『黒白の結び切り』を選びましょう。
水引は結び切りを用いることで、「これ以上紐が解けて不幸が続くことの無いように」という不祝儀特有の決まり事を守ることができます。
のしの正しい書き方
表書きは『御香典』、ペンは『濃墨の筆ペン』、水引の下は『フルネームで自分の名前』を書きましょう。
筆ペン以外を使う場合は「消えない」「黒色」のペンにしましょう。
最適なのは濃墨の筆ペンですが、のし袋は記入箇所が狭いため「普段筆ペンは使い慣れていないので小さく書けない」という方は、『黒色のペン』であれば、使用して問題ありません。
ただし黒色以外や消えてしまうペン、鉛筆はマナー違反ですのでそれだけ注意しましょう。
正しい渡し方
香典を渡す時は、法要にお伺いして最初に施主へ挨拶をする際に、「どうぞお供えください」と一言添えて、施主に直接手渡しましょう。
お金の包み方はやや複雑ですが、『【全宗派対応】参列者必読!四十九日の香典袋~知識・マナー・注意点~』でイラスト付きでわかりやすく解説していますので、お困りの際はあわせてご確認ください。
お供え品の「のし」
お供えの品にかけるのしは、全宗派共通で『外のし』『黒白の結び切りの水引』『表書きは「御供物」』『水引の下にフルネームで自分の名前』を書きます。
包装紙と紙袋の選び方
包装紙と紙袋の色は、不祝儀の儀式の場にふさわしい『白・グレー・薄緑・薄紫』慎ましい色にしましょう。
赤や黒など不吉さを連想させる色や華美になりすぎる色は避けるのがマナーです。
水引の選び方
水引は『黒白の結び切り』を選びましょう。
地域や宗派によって水引の色が異なる場合があり、各ご家庭の宗派や地域柄の事情を調べるのは困難ですので、全宗派で共通していて無難な「黒白の水引」を使いましょう。
のしの正しい書き方
表書きは『御供物』、ペンは『濃墨の筆ペン』、水引の下は『フルネームで自分の名前』を書きましょう。
薄墨は「突然のことで墨をする時間もなかった…」という意味を持ち使用できるのはお葬式までなので、法要へは故人のため準備してきたという姿勢を示すためにも筆ペンは必ず濃墨を使いましょう。
正しい渡し方
香典をお渡しする時に香典と一緒に、「紙袋に入れた状態」で施主に「お招きありがとうございます」と一言添えて、手渡しましょう。
相手がもしかしたら神道かもしれない…よくわからない…という時は、蓮の絵のついていないものを利用する方がマナー違反を犯し難く安全です。
郵送するときは、次の2つの理由から『内のし』で贈るのがマナーです。
- 配送の過程でのしが破れることを避けられる
- 表書きを箱や包装紙で隠すことで「大したものではありませんがお供えください」という控えめな姿勢を示せる
お供えは何を選べばいいだろう…と悩んだら、『ふさわしいお供えの選び方から供え方・渡し方の全知識』で、具体的にオススメの品から渡し方・相場までご紹介していますので、参考にしてみてください。
まとめ
のし(熨斗)は、相手への敬意と礼を示すものですから、法要では絶対に欠かせません。
一周忌にあたっては、施主は『引き出物にかけるのし』、参列者は『お金を包むのし袋とお供え品にかけるのし』について、適切に用意する必要があります。
記事でお伝えした通りに準備すれば、どんな宗派の法要だった場合でも、心配はありません。
この記事が一周忌を前にのしについて悩むあなたの役に立てば幸いです。