夏の文化的な行事・イベントの1つに「お盆」があります。一般的にお盆の期間は小学校~大学までは夏休みに含まれているので、社会人の方はお盆がいつから始まるのか気になりますよね。
お盆はそもそも休みの期間ではなく、ご先祖を供養する重要な仏事の1です。供養の流れを知らないと、準備に手間取ってしまいます。また、お盆がいつなのかは決まっていますが、地域によって変わるので注意しましょう。例えば、2020年のお盆は以下の通りです。
2020年のお盆 | |
---|---|
新盆:東京・千葉・長野・横浜・静岡など | 7月13日~7月16日 |
旧盆:上記以外の地域 | 8月13日~8月16日 |
このように、お盆の時期は基本的に8月の中旬ですが「地域格差」があります。
お盆の日程だけでなく、何をすれば良いのかも同時に把握しておくのがおすすめです。今回はお盆の時期ややるべき事などをまとめたので、今後は迷わずにお盆のスケジュールを立てられます。ぜひ最後までお読みください。
目次
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お盆の時期は「新盆」の地域と「旧盆」の地域で30日も違う!
まず、お盆の時期は基本的に8月の中旬ですが、厳密なスケジュールは地域によって異なり30日も開きがでます。お盆の日程を確認する時は、同時に地域の違いなども確認しましょう。
お盆は地域によって「新盆」と「旧盆」に分かれます。新盆の地域は東京・千葉・長野・横浜・静岡の一部です。旧盆の地域は「東京・千葉・長野・横浜・静岡以外」と覚えておきましょう。
新盆の日程
新盆は、7月13日(盆入り)から7月16日(盆明け)までです。地域によって微妙に異なる場合がありますが、基本的に7月15日を中心に盆が開催されるのが一般的です。
旧盆の日程
旧盆は新盆から30日遅れた8月13日(盆入り)から8月16日(盆明け)までです。一般的に「お盆」は旧盆を意味していることが多いです。この30日のタイムラグは明治時代の改暦が関係しているといわれています。
この改暦によって日本のさまざまな行事は30日遅れで開催されることになりました。元々は新盆の時期に開催されていたお盆も30日遅れることにより、8月15日を中心に行われるようになったのです。新盆と旧盆の違いは日程のみであり、お盆で行う内容自体に変わりはありません。
新盆 | 旧盆 | |
---|---|---|
地域 | 東京・千葉・長野・横浜・静岡の一部 | 新盆の地域以外の全域 |
日程 | 7月13日~7月16日 | 8月13日~8月16日 |
お盆期間中にやってはいけない3つの行為
お盆はご家族・ご先祖の霊を供養する行事の1つであり、1年に1回浄土(あの世・天界)から地上に帰ってくるので一緒に過ごします。ご先祖が地上に帰ってきて4日間にかけて行われるので、普段の供養よりも重要度が高くなります。
このご先祖の霊が迷わずに帰ってこれるように、さまざまな準備をして迎え、ご先祖と一緒に過ごした後は、迎えたときと同じように浄土へ送り出します。
このようにお盆はご家族・ご先祖と同じ時間を共有する大きな意味がある行事です。だからこそ、これから紹介する3つの行為はお盆中に控えることをおすすめします。
1)お盆と同時にお祝い事をする
2)無駄な殺生をする
3)水遊びをする
1)お盆と同時にお祝い事をする
一般的に仏事とお祝い事は一緒にしないのが良いとされており、マナーにもなっています。お盆は霊を供養する仏事であるので、結婚祝いなどの「〇〇祝い」などは控える必要があります。お盆は親戚などが集まる機会なので、一緒にお祝いを考えることもありますが避ける方が無難です。
また、お盆は他の家族もご先祖の霊を供養しています。他人の供養を邪魔するのもマナー違反になるので、同窓会や誕生日会などをお盆期間中に行うのも控えた方が良いでしょう。
2)無駄な殺生をする
お盆は霊を供養するための期間なので、無駄な殺生は避けるべきです。普段の生活の中にある「無駄な殺生」には、釣りが該当するので、なるべくお盆期間中は釣りを控えるようにしましょう。
3)水遊びをする
お盆期間中は、よく「水辺に行ってはならない」と言われます。これは海や川などの水辺はあの世と繋がっているので、お盆期間中に帰ってきている霊に足を引っ張られてしまいあの世に連れて行かれる、というものです。
※この話はよく耳にしますが迷信です。これは、夏の時期は水草や海藻の生育が良く繁るため、海や川で遊んでいると足に絡まったり、踏んで滑ったりすることが多くなり、「霊に足を引っ張られた」という迷信に繋がっているのです。
ただし、夏の時期は海や川などで発生する水難事故の件数は多くなるので、普段よりも注意することが大切です。お盆の時期は夏の疲れが出やすく、体調を崩しやすいのでプールなどで遊ぶときも、小まめに休憩するなどの配慮が必要でしょう。
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お盆でやっておきたい6つの準備・作業
お盆ではご先祖を迎えるので、適切な段取りで準備する必要があります。お盆期間中のスケジュールを立てるときは、各作業の手順も組み込むことが大切です。お盆の流れは以下の通りです。
1:お墓の掃除をしておく
2:お盆用の提灯を用意する
3:迎え火を焚く
4:ご先祖を迎える祭壇を用意する
5:お坊さんに法要をしてもらう
6:送り火を焚く
1:お墓の掃除をしておく
お盆はご先祖が地上に帰ってくるので、まずはお墓の掃除をしておきます。せっかく浄土から帰ってきたのにお墓が汚かったら、ご先祖は残念な気持ちになってしまうでしょう。お墓を掃除する時間帯に決まりはありませんが、夏の時期なので涼しい時間帯に掃除するのがおすすめです。
2:お盆用の提灯を用意する
お盆ではご先祖が迷わず家に辿り着けるように、提灯を用意して道案内をします。盆提灯は初盆と通常のお盆で使う種類が違い、初盆では白色の「白提灯」を使います。通常のお盆の場合は一般的な「盆提灯」を使います。
この盆提灯は一般的に絵柄が入ったものであり、吊るすタイプと置くタイプがあります。提灯を飾る時期は新盆であれば7月の頭、旧盆であれば8月の頭から飾ります。お盆の期間になったら提灯に灯りをつけ、送り火の後に消します。このように月初めから飾るので、前月までに用意しておくのがおすすめです。
提灯の価格の違いとは?
価格の相場はまちまちですが、3,000円くらいのものから8,000円ほどするものまであります。価格は素材や大きさ、豪華さによって変わります。特に安いものを選んでも問題ありませんが、見た目や耐久性にこだわるなら、綺麗なデザインでしっかりした素材を選ぶと良いでしょう。
例えば、プラスチック製のものより、和紙や絹などを使ったものの方が高くなります。
他にも、家紋を入れると2週間ほど期間がかかり、その分価格も上がります。盆提灯は親戚に贈る文化もあり、相手との関係も考慮して選ぶことも大切です。あくまでも盆提灯は故人・ご先祖のためのものなので、思い入れが強い場合は高額で豪華なものを選ぶと良いでしょう。
3:迎え火を焚く
お盆といえば盆入りと盆明けに火を焚くイメージを持つ方も多いでしょう。盆入りには「迎え火」を焚きます。この迎え火は盆提灯と同じように、ご先祖が迷わずに家に辿り着けるようにするのが役割です。
基本的には13日の夕方など暗くなったときに行います。最近では、マンションなどで迎え火などの火の扱いが難しいケースも増えているので、その場合は盆提灯を活用します。玄関や門口で迎え火を焚くことが多いですが、地域によってはお墓で焚くこともあります。
4:ご先祖を迎える祭壇を用意する
お盆では、帰ってきたご先祖の家での居場所を作るために祭壇(精霊棚・盆棚)を作ります。この棚にはござや真菰を敷いて中央に位牌を置きます。簡易的な祭壇もあれば、本格的な祭壇もあり、祭壇と一緒に精進料理や季節の野菜・果物をお供えします。
【精霊棚】
【使用例】
引用元:「仏壇屋 滝田商店 【盆提灯・お盆用品】」より抜粋
一般的に3段作りの棚が多く、相場は10,000円から20,000円前後になります。盆提灯と同様に丈夫で高級感がある素材を使った棚であれば価格は高くなります。他にも提灯などがセットになった精霊棚も価格は高くなるでしょう。必ず高級な棚を使わなければならない、といった決まりはないので手作りでも構いません。
簡単なものであれば、経机や小机、故人の好物などのお供えもの、精霊馬・精霊牛、提灯を用意し並べれば完了です。長く同じ精霊棚を使いたい場合は、耐久性を考慮して高いものを選ぶのがおすすめです。祭壇はご先祖のためのものなので、盆入りまでに用意しましょう。
きゅうりとなすをお供えする意味とは?
お盆ではきゅうりやなすに爪楊枝を使い、動物を象ったものがお供えされることが多いです。これはきゅうりは「馬(精霊馬)」を表現しており、「ご先祖に早く帰ってきてもらう」という願いが込められています。そのため、盆入りのときにお供えします。
【お供えの作り方】
作りは非常に簡単で、きゅうりとなすを購入し、爪楊枝を4本ずつ4足になるように挿します。このとき自立するようにバランスを取りましょう。このように野菜と爪楊枝があれば備えられます。
反対に盆明けはなすを使った「牛(精霊牛)」をお供えします。これは「少しでも地上に留まって、ゆっくり帰ってもらう」という意味があります。ただし、地域によっては盆入り・盆明けの両方とも精霊馬の場合もあれば、馬と牛が反対になっているケースもあります。
5:お坊さんに法要をしてもらう
お盆ではお坊さんにお経を読んでもらう「盂蘭盆会(うらぼんえ)」という法要を行います。他にも地域によっては、お坊さんが檀家をまわってお経を読んでもらう習慣があることもあります。
一般的には檀家に加入しているお坊さんに依頼すべきですが、「檀家に加入していない…。」「事情があって別のお坊さんに依頼したい!」と思われている方は、葬テラスの「【全宗派対応】葬テラスの初盆(新盆)・お彼岸参り供養・読経時の僧侶派遣サービス」をご利用ください。
6:送り火を焚く
送り火は迎え火の反対で、浄土に帰るご先祖を送り無事に帰れることを祈るものです。方法は迎え火と同じで16日の盆明け、できるだけご先祖と過ごす時間が長くなるように、日が落ちて暗くなってから行います。
お盆の迎え火送り火には専用の焙烙皿(ほうろく皿)があります。通常のお皿でもいいですが、ぜひ専用のお皿をご利用ください。
どのように送り火を炊けばよいか?は参考動画をご紹介しますので、合わせてご活用ください。
この送り火は地域で大々的に行うこともあります。例えば、大文字焼きで有名な京都の「五山の送り火」などは有名でしょう。東山(如意ヶ嶽)に大の字が浮かび上がり、お盆の精霊を送る伝統行事として行われています。
初盆と通常のお盆との違い
盆には毎年行う「通常のお盆」と、「初盆(はつぼん)」の2種類あります。初盆と通常のお盆では手順が異なるので、該当する場合は事前に違いを押さえておきましょう。
※地域によっては初盆のことを「新盆」と呼ぶこともあります。読み方にはさまざまありますが、「初盆(はつぼん)」「新盆(にいぼん)」と呼ぶケースがほとんどです。
49日を過ぎた後に初めて迎えるお盆のこと
初盆とは、亡くなってから49日が経過し初めて迎えるお盆のことです。例えば、7月に亡くなられた場合、お盆の期間は49日内になるため、来年のお盆が初盆になります。
この49日はあの世での裁判を行い、その判決が出るのが49日目と言われています。つまり、裁判中であの世から帰って来れないため、この期間を除外してカウントしているのです。
親族や友人を招き手厚く供養するのが特徴
初盆は通常のお盆と違い、親族や友人を招いて手厚く供養・法要するのが特徴です。一般的な法要と同じように行いますが、通常のお盆と同様に迎え火や送り火などを焚くといった、お盆での準備も同時に行います。
まとめ
お盆の期間は新盆と旧盆で違いますが、7月か8月の13日~16日で行われます。
新盆 | 7月13日から7月16日まで開催 |
---|---|
旧盆 | 8月13日から8月16日まで開催 |
初盆 | 亡くなられてから49日以降のお盆 |
お盆期間中は仏事に該当するため、マナー違反にならないように避けるべき行動を把握しておくのがおすすめです。また、お盆では迎え火やお墓の準備などがあるため、お盆の日程を確認したら作業の予定もスケジュールに組み込むと良いでしょう。