出張僧侶のちょっと良い話

初めまして、出張僧侶のもくれんです。
今回より、ブログを書かせて頂くことになりました。宜しくお願いします。

先日、お葬式に伺ったお宅のお話。

故人は男性。喪主は奥さん。
初めてのご縁の方で、私も初対面の中、葬儀に臨みました。

最近は当日に初七日も済ませてしまうため、葬儀が無事に済んでからは、お宅へお邪魔しておりませんでした。

葬儀屋さんが、後祀りの祭壇をセッティングして、そのまま手を合わせて過ごされているようでした。

後日、おうちでの祀り方に関して、奥さんからお電話で質問を受けました。
“個人はリビングが好きだったので、リビングでも祀っても良いのか?お花以外に、何を供えるのか?”祀ることに慣れていないせいか、何度か電話を頂き、都度丁寧にお答えしました。

今回も電話が鳴り、「これからクーラーを掛ける時期なので、遺骨や位牌に直接クーラーの冷気が当たると大丈夫なのか?」という質問でした。初めに方角は東向きか南向きでお願いしておりましたが、クーラーを避けると場所がなく、迷われているようでした。私は、そのお宅へお邪魔したことがなく、リビングの配置を全く知らなかったので、急遽お邪魔して配置を見せて頂くことになりました。

リビングまでお邪魔すると、確かにクーラーの真下に白木のお位牌や遺骨が安置されており、どこに移動すれば良いか困っているようでした。

「パソコンの上にあるプリンターを下ろそうか?」
「趣味のハーバリウムのコレクションを片付けて、小さな祭壇にしようか?」

ああでもない、こうでもない…色々と考える中で、パソコンの上は、リビングの隅になる。ハーバリウムは、故人も楽しんで眺めていたこと。

色んな話を伺いながら、最終的にはテレビ横の小さなスペースに気が付き、そこならクーラーの風も直接当たらず、部屋全体を見渡せますね!という形で場所が決まり、少し移動させ、配置を済ませました。

私からは、祀り方でのマナーやタブーなど、形式的なことのみをお伝えして、あとは奥さんは、どう配置すれば故人が喜ぶか?長く過ごしたリビングで、どうすればゆっくり過ごしてもらえるか?を中心に考えてくださっていました。

やはり、作業中も思い浮かぶのは、故人のこと。
息を引き取る寸前のこと。
初七日の朝方に、夢に出てきてくださったこと。

度々思い出し、涙を流されていました。

配置も無事に終わったので、そろそろ失礼しようとすると、「今日は来てもらえて、良かったです。配置も気になっていたのですが、お葬儀の日にゆっくりお話できなかったので、心にあった重いものがスーっと抜けていくようでした。」と仰って頂き、私も心が満たされた気持ちになりました。

夢に出て来られた初七日には、故人は三途の川を渡られていると思います。
仏に成る(成仏)ための最初の関門。
「それでは、行ってくるね!」という思いを届けてくれたんだと思いますよ。とお声を掛けて、お宅を後にしました。